2014年3月31日
いじめの定義
いじめとは、「当該生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、または物理的な攻撃(インターネットを通じて行われるものを含む)を受けたことにより、心身の苦痛を感じているものをいう。
個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は表面的、形式的に行うことなく、いじめられた生徒の立場に立って行うことが必要である。
(「いじめの防止等のための基本的な方針」平成25年10月11日文部科学省に基づく)
いじめに対する本校の基本的な考え方
キリスト教を教育の土台とする本校は、一人一人の人間が、神によって創られたかけがえのない存在であることを日々の教育の中で伝え、互いを尊重し合う、いじめを許さない学校を目指す。
いじめは、どの子どもにも起こりうるものであり、生命または身体に重大な危険を生じさせうるものという認識に立ち、全校生徒が、安心してさまざまな活動に取り組める学校の環境をつくる。
いじめ防止の基本的な考え方を以下にあげる。
- いじめを許さない、見逃さない雰囲気をつくる。
- いじめられている生徒の立場に立ち、情報収集を行い、守り通す。
- いじめる生徒に対しては、毅然とした態度で厳しく指導を行い、被害生徒の人権を尊重する意識を育てる。また自分自身の心に向き合い、自身の人間性の回復にも努めるよう指導する。
- 生徒・保護者との信頼関係づくり、地域や関連機関、専門家との連携協力に努める。
いじめ対策のための組織と年間計画
本校は、いじめ防止、解決のために、いじめ対策委員会を置く。
いじめ対策委員会は、支援教育委員会とあわせて年間5回、定期的に開く。ただし、いじめ問題について緊急の対応が必要な場合は委員長が臨時に招集する。
また、この委員会は教職員の研修会を計画的に実施し、いじめ問題への見識と共通理解を深めることに努める。
- 委員長
- 校長
- 副委員長
- 副校長
- 委員
- 高等学校教頭
- 中学校教頭
- 生活指導部長
- 当該学年主任
- 担任教員
- 教務部長(養護教諭、教育相談室カウンセラー、サポートルーム指導員、クラブ顧問)
臨時の場合( )は必要に応じて招集する
未然防止のための取り組み
(1)学級活動の充実
- 生徒に対し、教師は受容的、共感的態度で接すると同時に、自発的な規律性を引き出す努力をする。
- 生徒同士が互いの良いところを認め合ってクラスの課題に向かうことを促し、導く。
- 生徒の自主的活動を保障し、生徒同士がともに困難を乗り越える中で、規律の重要性と関係づくりの基礎を身につけられるよう指導する。
- 正しい言葉づかいを指導する。「キモイ」「ウザイ」「死ね」等、誰に対しても人権を傷つけるような言葉づかいを徹底的に正す。
(2)生徒が教員、大人にいじめの事実を訴えることのできる体制づくり
- 生徒が「いじめを受けている」と感じたときに、すぐ担任をはじめ身近な教員に訴えることができるように、日頃から生徒が訴えてくることに関心を持ち、真剣に耳を傾ける。
- 日頃から生徒の服装や持ち物、表情、態度や様子に注意を払い、細かな変化であっても気になるときには、必ず声をかけ、記録に残す。
(3)授業の充実
- 「わかる授業」を実践することで、生徒の自己肯定感を引き出し、劣等感からのストレスを最小限にとどめて、クラスの中の生徒同士のよい関係を作る基礎とする。
- 自他を客観的に見つめる視点を獲得させ、感情や行動をコントロールする力を身につけさせる。
(4)キリスト教教育・解放(人権)教育の充実
- 毎日の礼拝、聖書の時間、宗教行事の中で、自他がともに、神によって創られたかけがえのない存在であることを伝え、互いを尊重する生き方を学ばせる。
- 解放(人権)の時間を通じて、さまざまな偏見から自由になり、多様な文化、考え方、個性を認め合える資質を身につける。
(5)家庭との連携
- 個人面談、家庭訪問、家庭への日々の連絡等を丁寧に行い、生徒の変化やトラブルについていつでも相談できるような保護者との信頼関係を築く。
(6)教員同士の協力体制、組織での取り組み
- いじめの認知はいじめをなくすための第一歩であり、認知件数が多いことを意識の高さととらえ、問題解決に向けて学年及び学校全員体制で取り組むという姿勢をもつ。
- クラス、クラブ等の小さな問題と思われる事柄であっても、教員同士が情報を共有し、担任、顧問以外の者も指導に積極的に関わる姿勢をもつ。
- 生徒指導に関わる保護者対応、関係諸機関との対応については、その都度 生活指導部長、管理職に必ず報告し、様々な立場から問題の発見に努める。
早期発見のための取り組み
(1)複数の教員の目による日常の観察、報告による問題の発見
- 授業、クラブ活動、保健室等、さまざまな教育活動での生徒との関わりの中で、教職員が気になること(生徒の服装、言動、友達関係、持ち物等)を互いに情報交換し合い、いじめの芽を見逃さないように努める。
- 日直等の校内見回りの際、教室の様子(落書き、破損、汚れ、忘れ物等)で気になることがあれば、些細なことでも担任及び学年主任に報告する。
(2)教育相談室よりの報告を受ける
- 教育相談室(月~金 開室)より報告を受け、対応が必要な時には、いじめ対策委員会を招集し、協議する。
いじめへの対応
(1)いじめの情報把握・いじめの発見

(2)対応チームの編成・対応方針の決定、役割分担
いじめ対策委員会招集
ア.情報の整理
いじめの実態・加害生徒・被害生徒・関係生徒・周囲の生徒
イ.課題を分析、対応の検討
緊急性の確認(自殺、不登校、暴行の危険性)
事実確認のための事情聴取、指導の際に留意すべき点の共有
ウ.役割分担
- 問題解決のための当該生徒・保護者への事情聴取(事実確認)及び対応
- 被害生徒、加害生徒、関係生徒周囲の生徒、保護者のメンタルケア
- 関係諸機関との連携
(3)事実の究明 被害者→周囲の生徒→加害者の順で事情聴取を行う
- ○ いじめられている生徒、周囲の生徒からの事情聴取は、人目につかないように、場所、時間帯に配慮して行う。
- ○ 安心して話せるように、生徒が話しやすい教師、場所などに配慮して行う。
- ○ 関係者からの情報に食い違いがないか、複数の教員で確認しながら聴取をすすめる。
- ○ 情報提供者についての秘密を厳守し、報復などが起こらないように細心の注意を払う。
- ○ 聴取を終えた後は、生徒を自宅まで送り届け、教師が保護者に直接説明する。
- × いじめられている生徒といじめている生徒とに同じ場所で事情を聞くこと。
- × 注意、叱責、説教だけで終わること。
- × 双方の言い分を聞いて、すぐに仲直りを促すような指導をすること。
- × ただ単に謝ることだけで終わらせること。
- × 当事者同士、当事者の保護者同士の話し合いによる解決を促すようなこと。
(4)-1 被害生徒への対応
- ◎ 共感的に事実を聞き、いかなる理由があっても味方であるという姿勢で対応する。
- ○ 自己肯定感を失わないよう、生徒のよいところ、優れているところを認め、励ます。
- ○ いじめている側の生徒との今後のつきあい方など、行動の仕方を具体的に指導する。
- ○ 経過を見守ることを伝え、面談、家庭訪問等を定期的に行い、不安や悩みの解消に努める。
- ○ 自己肯定感を回復できるような支援を継続する。
- × 「君にも原因がある」「がんばれ」などという指導や安易な励まし。
被害生徒保護者への対応
- ○ 家庭訪問を行い、事実を正確に伝える。徹底して生徒を守り、支援していくことを約束した上対応方針を具体的に示す。
- ○ いじめの全貌がわかるまで、相手の保護者への連絡はしないように依頼する。
- ○ 対応の経過を伝え、理解と協力を得る。
(4)-2 周囲の生徒への対応
- ◎ いじめはクラスや学年、学校の集団全体の問題であることを認識させ、教師が生徒とともに本気で取り組む姿勢を示す。
- ○ いじめの事実を証言することは、被害者の人権と命とを守る立派な行為であることを伝える。
- ○ 周囲ではやし立てていた者、傍観していた者も、問題の関係者であることを認識させ、被害者の気持ちを考えさせる。
- ○ いじめを許さない集団づくりのために話し合いを持つなどして、解決に向けて支援する。
(4)-3 加害生徒への対応
- ◎ いじめを行った背景を理解しつつ、行った行為については毅然と指導する。また、生徒自身が自分の現実に向き合えるよう内省させる。
- ○ 話しやすい話題から入り、中立の立場で、うそやごまかしのない事実確認を行う。
- ○ 被害生徒の辛さに気づかせ、責任転嫁を許さず、加害の責任を自覚させる。
- ○ 面談や教師との交流を続け、自尊感情を養い、よいところを認めていく。
加害生徒保護者への対応
- ○ 家庭訪問を行い、事実を経過とともに伝え、その場で生徒に事実の確認をする。
- ○ 相手の生徒の状況も伝え、いじめの深刻さを認識してもらう。
- ○ 指導の経過と生徒の様子の変化を伝え、指導に対する理解を求める。
- × 保護者への批判的言動や非難。
(4)-4 関係諸機関との連携
- ○ 私学大学課、大阪市中央サポートセンター=報告、対応方針の相談
- ○ 警察=暴行障害・恐喝等の事件発生
- ○ 医療機関=被害者の心身の外傷、メンタルケア
- ○ PTA(へール会)=本部役員への報告(保護者への報告については、本部役員と協議の上決定)
重大事態への対応
(1)重大事態の意味
- ア.「生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑い」のある場合
- 生徒が自殺を企図した場合
- 金品に重大な被害を被った場合
- 身体に重大な障害を負った場合
- 精神性の疾患を発症した場合
- イ.「相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑い」(年間30日を目安)のある場合
- 留意事項
生徒、保護者から、いじめられて重大事態に至ったという申立があったときは、その時点で学校が「いじめの結果ではない」あるいは「重大事態とはいえない」と判断しても、重大事態が発生したものとして報告・調査等にあたる。
(2)重大事態発生の報告
- ア.学校から学校の設置者に、重大事態の発生を報告する。
- イ.設置者から大阪府私学・大学課に、重大事態の発生を報告する。
(3)学校の設置者による重大事態の調査主体の判断
設置者は学校の下に調査組織を設置する。ただし以下のような場合には、設置者の下に調査組織を設置する。
- ア.被害生徒・保護者の訴えを踏まえ、学校主体の調査では対応、同種の重大事態の防止に十分な結果が得られないと設置者が判断した場合
- イ.学校の教育活動に支障が生じるおそれがあるような場合
(4)調査の実施
- ア.調査組織の構成
- 組織の構成については、専門的知識及び経験を有し、当該いじめ事案関係者と直接の人間関係、利害関係のない第三者の参加を図ることにより、当該調査の公平性・中立性を確保する。
また、重大事態の性質に応じた専門家(弁護士・精神科医・カウンセラー、ソーシャルワーカー等)を加えることも考える。 - イ.調査についての留意事項
- ①事実関係を可能な限り網羅的に明確にする。
- ②因果関係の特定を急ぐのではなく、客観的な事実関係を速やかに調査する。
- ③たとえ調査主体に不都合なことがあっても事実にしっかりと向き合う姿勢をもつ。
- ④この調査は、民事・刑事上の責任追及やその他の争訟等への対応を直接の目的とするものではなく、学校とその設置者が事実に向き合うことで、当該事態への対処や同種の事態発生防止を図るものである。
- ⑤これまでに学校で先行して調査している場合も、調査資料の再分析や必要に応じて新たな調査を実施する。
事実関係とは、重大事態に至る要因となったいじめ行為が、いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景事情や、生徒の人間関係にどのような問題があったか、学校・教職員がどのように対応したかなどを指す。
(5)被害者本人・保護者への適切な情報提供
- ア.調査により明らかになった事実関係について情報を適切に提供(経過報告を含む)する。
- イ.関係者の個人情報に十分配慮すること。(ただし、個人情報を楯に説明を怠るようなことがあってはならない。)
- ウ.アンケート等により調査した内容を、被害者生徒・保護者に、提供することがある旨、予め調査対象生徒、保護者に説明の上アンケート等を実施すること。
(6)設置者及び大阪府私学・大学課への報告
被害生徒または保護者が希望する場合き、被害生徒または保護者の所見をまとめた文書を、調査結果に添える。
(7)調査結果を踏まえた必要な措置
学校及び学校設置者は、心理や福祉の専門家、警察官経験者など外部専門家による重点的な支援体制の構築、生活指導への人的配置等について、必要な措置を行う。
その他
学校及び学校設置者の行う調査、措置の後、またはそれと並行して、再調査が必要な場合は、地方公共団体の長の下に調査が実施される。
その際、調査対象となる生徒等への心理的な負担を考慮し、重複した調査とならないよう留意する。
たとえば、学校が既に行った調査資料に基づく分析、追加調査として実施する等